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「大人になった帰国子女」ヒューマンライブラリー開催レポート《後編》

3月3日に開催された「ヒューマンライブラリー」イベントの続きです。

前半についてはこちらをどうぞ。

★どんな事をしたの?

第2部:パネルディスカッション(約45分)

当初は、パネル形式で「本」役が下記4つの質問に答えるディスカッションを予定していましたが、この時点で退出しなければならなかった方も複数いらしたので(お忙しい中、本当にご参加ありがとうございました!)少人数になったところで全体ディスカッションに切り替えました。

全体ディスカッション質問 Q1:今まで遭遇した「帰国子女」のステレオタイプについて、「本当は違うのに」と思うことはありますか?

Q2: 帰国する時の(過去の)自分に何か言えるとしたら、どんなことを言いたいですか?

Q3:今でも「帰国子女」扱いされることはありますか?それはどんなときですか?

Q4:周りがサポートとしてできることは何だと思いますか?

全体ディスカッションというと堅苦しい響きですが、みんなで円になり、和気あいあいと意見交換をしました。(写真でも分かるように!)爆笑したり、真剣になったり、中身の濃い45分でした。

ここでは、各質問への答えを記録しつつ、出た意見の概要、そして個人的に印象に残ったことを書き留めておきたいと思います。

<抱かれがちなステレオタイプについて>

・海外に住んでいただけで、明るくて前向きでポジティブと誤解されがちである。

・(自分の中身を知られる前に)「帰国子女」というだけでカッコ良いとか憧れる、と言われることに違和感を抱く。

・外国語(特に英語)をラクして身につけたと思われる、でも実際は英語だけでなく日本語でもかなり苦労していると感じる。

・外国語(特に英語)がペラペラで当然と思われがちである。

こういうステレオタイプは、結構「帰国子女あるある」なのかな、と感じました。

<帰国時の自分に言っておきたいこと>

・帰国して最初の数年は大変だけど、死ぬことはないから大丈夫。

・周りから特別扱いされることもあるけど、調子のるなよ!(これには一同大爆笑!)

・頑張って日本人になろうとしなくても良いんだよ。無理して日本に馴染もうとしなくても日本で生きていけるよ。

この最後の点については、様々な視点の意見が出ました。「やはりある程度は馴染む努力をしないと浮いてしまう」という意見や「無理に適応しようとしても、結局自分を押し殺してしまって後で困る」という意見もあり、このあたりが「帰国子女」や異文化間のアイデンティティを持つ人たちの長期にわたる葛藤につながるのだと感じました。

その他にも、帰国時にペットの飼い犬がいなくなってしまったから、ペットには気をつけて、というコメントには共感して悲しくなると同時に、Third Culture Kidsの研究でよくTCKの特徴の一つとして挙げられる"hidden loss"に共通するものがあると感じました。

<いまだに帰国子女扱いされるとき>

・職場などで、周りと違う言動を取ったときに「帰国子女だから、まぁしょうがないよね〜」と言われる

・相手のちょっとした発言の中で「本当の日本人ではない」や「外人」と言われる

・きっとあるだろうけど、もはや気にしていない、スルーしている

周囲からの扱いについては、どの発言者も「帰国子女扱いをしてくる人は、特に悪気があってしている訳ではないのは分かっている」と言っていたのが印象的でした。それをどのように受け止めるのか、には個人差(や、もしかしたら年齢差?)があるのが興味深かったです。

<周りができるサポートについて> ある程度予想はしていましたが、この最後の質問が一番ディスカッションが白熱しました。子育て、言語指導、教師、学校、カウンセリング、オンライン学習指導、友人、家族などなど・・・ありとあらゆる側面からのご意見が出ました。全部を載せていると恐ろしく長い投稿になりそうなので、勝手にまとめます。

一言でまとめると「コミュニティ」だと感じました。 実はご参加者の中には「帰国子女・第1期生」の世代の方々もいらっしゃいました。そして、私たちがやっているような活動をご自身でやっていたことがあったり、他にもこのような活動が立ち上がっては消えゆくのを何度も目の当たりにしてきたそうです。

その方が作成していた「私情つうしん」(ナイスなネーミングに一同うなりました!)というニュースレター を回し読みしました。

日本の高度経済成長を機に急増した「帰国子女」や「帰国児童生徒」と呼ばれるような人たちが、どの時代においても自分たちが所属できるコミュニティを欲してきたことを考えると、「コミュニティ探し」は異文化間に揺らぐ「帰国子女」やThird Culture Kidsの終わりなきテーマである気がして、なんだか切なくもなりました。が、こうして世代間でつながることの意義を感じ、上の世代の方々が作ってきたコミュニティの存在に心強くもなりました。 そして何よりも、「コミュニティ探し」が永遠のテーマなのであれば、今私たちの世代にできることは、自分たちの経験してきたことや感じてきたことを(帰国子女であるとかないとか関係なく)より多くの人に伝えることで、次のTCK&帰国子女世代(しかもグローバル化が進む中でさらに急増中)が、様々なコミュニティを見つけられるよう、選択肢を少しでも多く増やしておくことなのではないかと使命感にも駆られます。

まだまだできることは多くある!そう感じたディスカッションでした。

その後も話は終わるはずもなく、同じ会場のレストランで懇親会をしました。 話が弾みすぎて、写真を撮り忘れてしまった〜!

本当にたくさんの学びと気づき、そして何よりも笑いと癒しをいただきました。主催者の私が一番楽しませていただいてしまったのではないかと思いもしますが・・・

ご参加いただいた皆様、冷たい雨の中お越しいただき、本当にありがとうございました。

今回ご参加いただけなかった皆様も、ぜひ次回お会いできたら嬉しいです。

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